2006年12月11日
「SKYWARD」村主章枝姉さんインタビュー
別府に旅行中のマイク松ですこんにちは。宇佐神宮に行ったり、豊後高田昭和のまちにいったり。宇佐神宮ではお願い事をしてきましたが、本殿に賽銭箱が3カ所あるんですよね。なんかすごい。豊後高田には昭和の町並みを保存している商店街と古いおもちゃを保存した博物館がありました。すごいコレクションでした。
それから別府の旅館に行ってまず温泉。別府湾を一望する露天風呂です。だらだら湯船に体を浮かせていました。ファッ金な記憶はお湯に流してきました。でさっきごはんを食べてきたのですが、今日泊まっている旅館はほんと僕の口に合うというか。いつも旅館のごはんてあまり食べられないのですが、今日はじゃんじゃん食べました。おいしかった〜。富井は今あっちでなぜか、文庫になった酒井順子「負け犬の遠吠え」を読んでいます。最初はいまいちだったがだんだん毒が強まってきておもしろくなってきた、とのことです。
さて、出張で飛行機に乗ったら、機内誌「SKYWARD」11月号に、村主章枝姉さんのインタビュー記事がありました。もう読んでむっちゃ感動しました。どこにでも姉さんのインタビューはあるのかもしれませんが、思いが伝わってきたので。インタビュアーがよかったのかな。小松成美さんです。ということで今日はこの記事をご紹介したいと思います。
まず村主姉さんはスケートの魅力についてこう語っています(抜粋)。
「氷とエッジが出合うことで、陸上ではできないことが可能になるんです。ダイナミックなジャンプも高速のスピンも、複雑なステップ・シークエンスも、すべては人間が氷という舞台に立ったからこそ実行できる。そして、その技の種類は何百、何千とあり、本当に奥が深い。スケートは私を別次元に導き、心を高揚させてくれる。その楽しさは、子どもの頃も今も、まったく変わりません」(p.82)村主姉さんらしいコメントですよね。スケートの奥深さに魅了されているということをこれだけ熱っぽく語って。こちらまでうれしくなります。練習や試合のたびに新しい発見があるところにも惹かれるということだそうですよ。
でもそれをやるには精神的・肉体的強さが求められるとしています。
「競技として、筋力や柔軟性が演技を左右しますし、どんなに苦しい状況になっても倒れない強い魂も不可欠です。そういう意味では一流のアスリートでありたいといつも自分を鼓舞しています。だから、筋力のトレーニングも怠らないし、勝つことへの執念も忘れません」(p.82)村主姉さんの練習量は有名ですが、そこにはこれだけ強い気持ちがあるんですね。「強い魂」という言葉が印象的です。魂なんだと。そしてそこには競技と芸術性をあわせもつスポーツの性質が影響しているんだといってます。
「私という人間が真に芸術を求め、この世にたったひとつしかない演技を誕生させる。そうした深遠な行為の積み重ねが必要な競技だからこそ、私はフィギュアスケートを続けているんだと思います」すごい芸術性、表現に対する強い思いですよね。芸術と技術の融合。それを高いレベルで実現することが求められつつも、新採点システムで技術よりになってしまっている状況でも、アーティストとしての気持ちを強く持っている。だからわれわれは姉さんの演技に惹かれるんだなあと思いました。ただ表現がうまいだけじゃなく、それを支える強い意志。
村主姉さんはスケートを本格的に始めるのは15歳と遅かったらしいのですが、それでもあふれる情熱でそのハンディを覆していきます。そして佐藤信夫・久美子コーチとの出会い。村主姉さんにさまざまな課題を与え、それを自分で理解できるようになるまで粘り強く指導してくれたんだそうです。
「佐藤信夫先生は、それまでの私のスケートを否定することなく、新しいことをゆっくり教えてくれました。先生に、自分のスケートを端から否定されていたら、そして、単に何かを押しつけられていたら、私はあの時点で潰れていたと思います」「当時(高校〜大学?)の私にはまるで理解力が足りなかった。小さなコップに一気に水を注いでもすぐにこぼれてしまうでしょう。先生は、私が指導の内容を理解し、受け止められるようになるまで我慢してくださったのです」(p.83)さすが久美子!(最近久美子コーチブーム)いやーさすがの名コーチ夫婦ですね。あふれる忍耐力というか。このスピード時代、大手企業では新人の即戦力志向とかいろいろいわれてる中で、環境のよくないフィギュアスケートでじっくり選手を育てるその眼力に敬服です。大きいですね。
そして姉さんはソルトレイクで5位になりますが、そこから自らのフィギュアスケートを高めていく決意をしたそうです。
「この頃(ソルトレイク)には、大学(早稲田)を卒業した後もスケートで生きていきたい、とはっきり思っていました。実際、経済的な理由でスケートを断念する選手も少なくないんです。練習のためのリンク代や国内・国際大会出場のための諸経費など、莫大な費用がかかってしまう。両親は、そうしたことも含めて私がスケートを続けることを許してくれた。家族の応援に報いるためにも、自分の実力でスケートができるようになりたい、と思いました」(pp.83-84)このあたりからより熱っぽく語るようになる姉さんですが、家族に対する思いとかが背景にあったのはなるほどと思いました。そして話はトリノ前の全日本選手権に。股関節の重傷を抱えていながら、あの演技をしたときのことを振り返っています。
「フィギュアスケートでは、どんなことが起こってもすべて自分の責任です。怪我だろうと、ミスだろうと、誰にも責任を転嫁することなんてできない。孤独ですが、私には戦いの場でひとりであることも重要でした。怪我をした箇所を痛いと思えば、自分自身に対して弱みを見せることになる。どんな瞬間も自分の持っている力のすべてを尽くす。周りで支えてくれるコーチやスタッフのためにも強くありたかった」(p.84)なんと、なんと強い気持ちなんでしょう。芸術的な滑りで魅了する村主姉さんですが、試合の時はこれだけ強い気持ちをもって臨んでいるのだと思うと1つ1つの演技に何かがこもっているのもうなずけます。ましてや現在はそこに村主姉さんがいつも感謝しているお客さんの関心が高い。ますます高まっていくのかもしれません。
トリノで4位という結果も自分のコンディションが原因だと考えると、自然にバンクーバーに向かう気持ちがわいてきたんだそうです。何よりそこで「戦うことに前向きな自分を確かめることもできた」(p.84)のだそうです。まるで姉さんのプログラムのように、どんどん熱い思いが高まってきてます。
「美しさは人によって感じ方も違う。しかし、試合ではそれを数字に転化します。競技をしている以上、選手は結果を出さなければならない。観衆も結果を求めて当然です。私自身、全身全霊で挑んでいけば、いつか自然のパワーや観る方たちの気持ちをひとつに結集できるかもしれない。そのエネルギーこそが、採点にも繋がっていくと今は信じられる。スケートが好きだという気持ちを証明するために、私はバンクーバーで金メダルを目指します」強い。なんて強いんだこの人は。姉さんは美しさを採点されることに対する違和感を持ち続けてきたらしいのですが、それを乗り越えるような強い思い。自分に関わることをすべて自分の強さに変えられるんですね。最後の一文は至言です。バンクーバーで金メダルを目指すとはっきりおっしゃってます。その気持ちがうれしい。
そして最後に村主姉さんの目指す到達点はどこなのかという質問に、姉さんは迷うことなくこう言い切ったそうです。
「フィギュアスケートの裾野をもっともっと広げたい。これだけ注目される競技なのに、各地のリンクはことごとく閉鎖されています。子供たちが、そしてオリンピックを目指す選手たちが、安心して練習ができる環境をつくりたい。現役の間も、引退後も、そのための活動をしていきたい。それが私の夢です」これだけ自らの芸術性や競技に対する強い思いを抱いていても、自分の夢はスケートの裾野を広げることだと言い切る。まったく自分本位でもなければフィギュアスケートのブームに対するうかれもない。日本相撲協会も学んでほしいくらいです。この現実をしっかり見据えて、そのための活動をしていきたいとのこと。荒川姐さんも同じようにいってましたよね。まだ競技を続けているのに、ここまで見据えて滑っているんだと。熱い。なんて熱いんだ。飛行機の中で読んで、身の震える感動を覚えました。
---
はじめの一歩というボクシングまんががあります。今のマガジンで唯一の名作ですが、登場するボクサーはみんな、何かしら戦う理由を持っています。「強いって何か」の答えを見つけるため、父親のボクシングスタイルが間違ってなかったことを証明するため、などなど。その思いがしっかり描かれているからこそあのまんがはおもしろいんだと思いますが、村主姉さんにも戦う理由がありました。「スケートが好きだという気持ちを証明するために」「スケートの裾野をもっともっと広げるために」。他の選手にもあるのかもしれませんが、こうして目にする機会があったことはほんとうによかったと思います。ありがとうございます。
「SKYWARD」11月号は、どうもバックナンバーもオンライン購入できるそうですよ。ぜひ。あとそういえば新創刊のフィギュアスケートDays、もう読まれました?村主姉さんと田村岳斗のつっこみあいトークや、久美子ファン垂涎の佐藤夫妻のインタビューが載ってます。ぜひ。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.falsestart.biz/tt_tb.cgi/975
まずは、この記事から、先に掲載したいと思います。 現在迄に、僕が入手している、村
キス&クライは、もういらない。 No more kiss and cry! : 2006年12月11日 12:56
コメント
マイク松さん、ありがとうございます。
村主さんのありがたいお言葉、そのことだけでも
胸があつくなり泣けてきます。
早速発注してきました!
投稿者 mina10 : 2006年12月10日 22:35
マイクさんありがとうございます!
…(感涙)
これほど熱い想いを持った、そして人を応援する気にさせるスケーターって村主姉さんだけだと思うんですよ。稀有な存在というか、やっぱりスケート界で必要な人ですよねー。バンクーバーまでといわず、一生応援していきたいです。
それにしてもJALはいいインタビュー持ってきましたね。姉さんのお父さんがパイロットだから?
投稿者 かなほ : 2006年12月10日 22:57
はじめまして、こんにちは。
いつも楽しみに読ませてもらってます。
記事にして下さってありがとうございました!
シビレました。。「bolero」と共に。
私の中では、特に昨日から「スグリ祭」です!
(フィギュアのシーズン中はだいたいずーっとそうなんですが。)
昨日、日テレのTHEサンデーでスグリさんの特集を見て改めて感動してました。
”ミラクル真央VS美姫”という報道の仕方に食傷していたので(殆どスグリさんは無視っぽいのも気に食わない)、とても嬉しいものでした。泣きそうでした。。
スタジオではスグリさんファンの徳光さんの熱さが際立ってました!
スグリさんが8月にJALに乗った際(やっぱりANAとかには乗らないんでしょうか!?)
小松さんが書かれた北島康介さんの記事を読んですごく励まされたんだそうです。
昨日の番組、もし見られていたら是非こちらでも記事にして下さい。
小松さんの取材ですので↑の記事とダブってるところもありますが。
ホント、スグリさんは誤解されてる事も多いと思います。
スグリさんの本当の気持ちを知ってほしいと思います。
(って私も生観戦もなければ、お会いした事もないんですが。)
私も「フィギュアスケートdays」は大満足でした。
横ですが私も昭和の町行ってきました。
別府は「ヤングセンター」というネーミングがツボです。
行ってみてください。
私は大分とも福岡とも接している県在住です。
あ、こちらの記事をファンページで紹介させてもらってもいいでしょうか。
後ほどトラバさせていただきます。
コメントを長々とスミマセンでした。
投稿者 ユリワカ : 2006年12月11日 09:06
こんにちは、別府はいかがですか。
私もユリワカさんと一緒でテレビの村主さんの特集を見ました。なかなかとりあげられない姉さんの特集でしたのでうれしかったです。日本の女子活躍していますがやはり村主さんがいないと!あの存在感、そして大事な時にがんばっていい成績を出し、オリンピックの枠を取ってくれていたのを皆さんにもっと知って欲しいです。
でも、やっぱりマイペースの姉さん。ワールドフィギュア最新刊のスケートカナダでの記者会見、村主さんはマイペース振りが、ジョニー・ウィアーは毒舌振りが出ていて爆笑ものでした。ネタばれになるのでここまでにしますが、相変わらずすごくいい記事でした。それと、ライターさんが日本のマスコミの加熱取材を懸念しているのがわかります。真央選手の記事に彼女が常に一番である必要は全くない、あせらずに素直に伸びて言って欲しいと書かれています。
別府はいい旅館に当たってよかったですね。地元のものとしてほっとしました。やはり、旅は宿泊先の良し悪しで決まりますから。エリアとしては、山の上で湯煙が立ち上っているあたりがお勧めです。昔の湯治場のひなびた感じが残っています。あと、高崎山というサルで有名な観光地があるのですが、サルの生態がすごく面白いのでお勧めです。お菓子を持って歩いたりしていたら、かっさらわれてしまうのでお気をつけて。
投稿者 アリョーシャ : 2006年12月11日 22:03
私はその特集身損ねました〜〜涙
テレビ欄を見たのは夜・・・遅すぎる・・・
このレビューすごい楽しみました。
やはり姉さんはすごい。こういう方だからこそ私は全日本でもトリノでも涙してしまったのだと思いました。
是非今度のワールドも出てもらいたい。そして出来れば優勝を!
今の女子選手のフィールドではなかなか難しいことと思いますが、やはりいつまでも応援していきたいです。
投稿者 おたか : 2006年12月11日 23:16
みなさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
>mina10さん
> 村主さんのありがたいお言葉、そのことだけでも胸があつくなり泣けてきます。早速発注してきました!
僕も飛行機の中で同じ気持ちになりましたよ。早速かばんに入れて持って帰ってきました。写真は地味ですが楽しめます!
>かなほさん
> これほど熱い想いを持った、そして人を応援する気にさせるスケーターって村主姉さんだけだと思うんですよ。稀有な存在というか、やっぱりスケート界で必要な人ですよねー
この熱いスピリッツは必ず受け継がなければならない魂ですよね。ほんとずっと活動を応援していきたいです。
> ユリワカさん(はじめまして!)
> スグリさんが8月にJALに乗った際(やっぱりANAとかには乗らないんでしょうか!?)小松さんが書かれた北島康介さんの記事を読んですごく励まされたんだそうです。
あ僕もそれ読みました。いいこと書いてました。
僕は民放は基本的に見ないので知らなかったのですが、いい番組だったようでよかったですね。
> 横ですが私も昭和の町行ってきました。別府は「ヤングセンター」というネーミングがツボです。行ってみてください。私は大分とも福岡とも接している県在住です。
あああの県ですね(笑)。昭和の街は博物館はよかったですが、実家の街も負けずに古いので、実家感ありありでした。
> あ、こちらの記事をファンページで紹介させてもらってもいいでしょうか。
もういつでも大丈夫です!よろしくお願いいたします。
>アリョーシャさん
> なかなかとりあげられない姉さんの特集でしたのでうれしかったです。日本の女子活躍していますがやはり村主さんがいないと!
NHKの「輝く女」くらいですよね、あとは。うわついた一過性のブームに終わらせないためにも、姉さんのスピリッツは必要です。
> ワールドフィギュア最新刊のスケートカナダでの記者会見、村主さんはマイペース振りが、ジョニー・ウィアーは毒舌振りが出ていて爆笑ものでした。
それもおもしろそうですね!チェックしてみます。ありがとうございます!
> 別府はいい旅館に当たってよかったですね。地元のものとしてほっとしました。高崎山というサルで有名な観光地があるのですが、サルの生態がすごく面白いのでお勧めです。
おお地元の方でしたか!とてもよかったですよ!というかもういい温泉とごはんがあれば大満足です。
高崎山いってきました。富井がえらく気に入ってました。いろんな猿がいろんなことをしていて、見てて飽きませんよね。人はたいしたことないっていいますが、みどころとしてしっかりしてるなと思いました。
>おたかさん
> このレビューすごい楽しみました。やはり姉さんはすごい。こういう方だからこそ私は全日本でもトリノでも涙してしまったのだと思いました。
よかったです楽しんでいただけて。おたかさんはじめみなさんのためにも、ぜひとりあげなくては!と思っていたので。
> 是非今度のワールドも出てもらいたい。そして出来れば優勝を!今の女子選手のフィールドではなかなか難しいことと思いますが、やはりいつまでも応援していきたいです。
さっきちらっとJ-Sportsで去年のマーシャルズU.S.チャレンジ、コーエン.vs.クワンをみたのですが、演技的には明らかにコーエンの方がいいのに、会場の観客はミッシェル・クワンの演技を支持していました。もちろん姉さんのスケートで金メダルをとってもらいたいのですが、それ以上に自分を貫いてクワンを超えてほしいと思いました。
投稿者 マイク松 : 2006年12月12日 00:10
すごく良いインタビュー記事だったみたいですね。取り上げて頂いてありがとうございます。
姉さんって、人間としてすごく深みのある人なんですね。こんなに強くて、聡明で、情熱にあふれていて…
これで、まだ26歳だなんて!自分自身の若い頃を振り返ると恥ずかしくなります。姉さんの演技には、このスケートに対する熱い想いの全てが込められているから、多くの観客が魅了されてしまうんですね。
このインタビュー記事、ぜひ全文読みたいです!きっと、なまけもので心弱い私でも、少しだけでも自分を向上させるためにがんばろうという気持ちにさせてくれるような気がします。
投稿者 桜もち : 2006年12月12日 00:16
桜もちさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
> 姉さんって、人間としてすごく深みのある人なんですね。こんなに強くて、聡明で、情熱にあふれていて…これで、まだ26歳だなんて!
そういえばそうですね。僕も26歳の頃は人生のどん底期でした(笑)。若くしてこれだけ人間として成長しているのはすごいです。
> 少しだけでも自分を向上させるためにがんばろうという気持ちにさせてくれるような気がします。
僕も「ちゃんといい記事書こう!」って思いましたよ!(本業はどうした)
投稿者 マイク松 : 2006年12月13日 00:03
コメントしてください